今日は板のお話。
ツキノオトの作る木の家では、テーブルやカウンターにももちろん無垢の木を使います。
柱や梁には主に国産の杉を使いますが、テーブルやカウンターには目的に応じて様々な樹種の木を使います。
ただ物を置く棚のようなところだと針葉樹の杉を使いますが、杉は柔らかく傷がつきやすいので、ダイニングテーブルや勉強机といった堅さが必要な場所にはクリやサクラといった広葉樹を使います。
広葉樹には散孔材と環孔材という大きく2種類に分類できます。
散孔材は木目がハッキリしないスベスベした肌触りが特徴で、ブナ・カエデ・ウォールナット・サクラ・トチといった木材が散孔材です。
一方の環孔材は木目がハッキリしていて、触ると木目が分かるような材も多く、クリ・ナラ・タモ・ケヤキといった木材が環孔材です。
テーブルがスベスベの木がいいかどうかは目的しだいです。
姫室の家ではワークコーナー・図書コーナーのカウンターや机はどこでも勉強や事務作業ができるようにしてほしいというご要望でしたので、「字や絵を書く」カウンター類はすべて散孔材のブラックチェリーの巾ハギ板にしました。
ダイニングの壁沿いにL型にブラックチェリーのカウンターを設けています。
ここは奥さんのワークコーナーであり、お子さんたちが宿題などをする勉強机になります。
杉などの柔らかい木や木目のハッキリした木だと紙を置いて字を書くとガタガタしてしまうのですが、チェリーはスベスベなのでプリントなどに文字を書いても全く問題ありません。
こちらは2階の図書コーナーのカウンター。
ご主人の事務机でもあり、お子さんも並んで本を読むこともできます。
ブラックチェリーのカウンターが周りの木よりも濃い色で空間を引き締めてくれています。
このチェリーの巾ハギ板は大阪の橘商店さんに注文して、必要寸法に合わせて接いでいただきました。
ほぼ無節の赤身ばかりで接ぎ合わせてくださってるのでとっても美しいです。
下の写真のトイレ手洗いカウンターは梅林の家のトイレ手洗いカウンターで栃の木を使っています。
この栃の木は、トチ独特のみごとな杢(模様)ですが、これは建替え前の古いお家の板を再利用して擦りなおしたら、こんなに美しい杢が出てきたものです。
栃も散孔材なのでスベスベしていますが、トチはこのなんとも言えない風合いが特徴の板になります。
さらに下の写真は小ギャラリー・AFANのキッチンのカウンターで、ブラックウォールナットです。
このブラックウォールナットは橘商店さんの材木市で手に入れたもの。
ウォールナットとしては巾が狭いために格安で手に入れましたがキッチンのカウンターとして使うなら十分なサイズです。
皮付きの皮を大工さんに剥いでいただいて、ツヤツヤ・スベスベと気持ちのいいカウンターになりました。
そして下のダイニングテーブルは我が家のクリのテーブルです。
広葉樹はなかなか国産材は手に入りにくいのですが、この栗は岐阜県産のクリの巾ハギ板になります。
岐阜の白鳥林工さんのほぼ無節のクリパネルです。
クリは少し木目の感触はありますが、きれいにカンナをかけてもらいましたので今のところメモを書くなどの時に気になるほどではありません。
クリの板を使うときに気にするべきは鉄分とタンニンによる黒ずみです。
うちのテーブルは調理台として使うことも多く、どうしても鉄の缶や調理器具を置くことも多く、紅茶やお茶といった水分をこぼすことも多いために、鉄とタンニンが反応して部分的に黒変してしまうことがありました。
ですので、調理台として使うならクリはお奨めしません(^^;;
テレビ台や電話台もクリで作っていますが、こちらは問題なく美しいままです。
このように、テーブルやカウンターに使う板は、使い方によって適切な樹種を選ぶ必要があります。
どんな目的で使うのか、どんな雰囲気が好きなのか、実際に家具屋さんや材木屋さんなど板の見た目や触り心地を見ながら選ぶのも楽しいものですよ。
2017年08月16日
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