昨日は紀州田辺の「伸栄木材」さんに工場見学と材料確認と打合せに行ってきました。
計画中の堺市の住宅の構造材を伸栄さんに段取りいただきました。
伸栄木材さんは普段は高温乾燥の木材を出荷されていますが、今回は担当の中谷さんが特別にオリジナルの乾燥方法で準備してくださってます。
高温乾燥のKD材は内部割れがどうしても多く出がちなので、この家の木材は短時間だけ乾燥機で機械乾燥させ、中心はほぼ生材のまま機械から出して、あとは時間をかけて天然乾燥させるという、表面ドライングセットという方法をとっています。
この乾燥方法は表面割れも内部割れも最小限に抑える方法として開発されたもので、実際の割れはどうだったかこれから検証するつもりです。
岐阜の森林文化アカデミーでも冨田先生と2期生の篤田さんが研究されていましたね。
乾燥機から出してすでに3ヶ月間、屋外で乾燥させ、更に1ヶ月後の7月にプレーナーをかけたあと工務店さんの加工場に届けていただきます。
ここから手刻みをしてる8月の間にも天然乾燥を進めて、棟上げは9月の予定。
天然乾燥の期間はトータル6ヶ月になります。
今は少しスモーキーな見た目ですが、少し削ると綺麗なスギ本来の美しい色味と艶が現れるそうです。
天然乾燥と機械乾燥の中間の良いところ取りをしようとしているのですが、製材所さんとしては手間がかかるので中谷さんに大変面倒をお掛けしています^^;
しかし、実はこの方法、中谷さんからご提案くださったのです。
中谷さんが以前おられた廣本林業さんに私は16年前からお世話になって、Msの所員時代も三澤康彦さんの御付きとして廣本林業さんにお邪魔していました。
中谷さんが伸栄木材に移られてから、三澤康彦さんの望む、少しでも天然乾燥の色艶を保ちながら表面割れも少ない乾燥方法を試そうということで、中谷さんと康彦さんとでこの表面ドライングセットに挑戦されていたそうです。
今回は私の要望がこの方法と合っているということで、面倒を承知の上でご提案くださいました。
発注したのが冬の2月だったのでギリギリ切り旬に伐った丸太の段取りに間に合ったのと、施主が急ぎではなく、時間をかけてでも内部割れの少ない乾燥材で家を建てたいという要望とフィットして実現したのでした。
中谷さんに更に詳しくお聞きすると、天然乾燥の時期は雨にかからないようにするのではなく、雨に降られたり、カンカン照りに照らされたり、木材の水分が上下しながら徐々に乾かす方が乾燥が早く進む、という経験談にも驚きました。
また、材を発注するなら、できれば10〜11月ごろまでに発注した方が良い丸太が手に入りやすい、特に径級の大きい80年生ぐらいの丸太が欲しければ、なるべく冬の前に予約しておいた方がいい、という話も伺いました。
私の注文する柱の杉は、シロアリに強い赤味がちでお願いするので、芯材の赤味部分が大きい材は径が二回りほど大きい丸太が必要になり、それには年数が70〜80年ほど経って成長しきった材が望ましく、その丸太を段取りするのは切り旬を迎える11月までに予約の連絡があった方がいいということなんです。
いろいろと勉強になりました。
やっぱり私は構造材は設計時に自ら段取りしておきたいし、工務店さんにお任せするのではなく、製材所や林業地に足を運んで話し合いながら進めたいと思いを新たにしました。
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