独立して最初に本格的に設計させていただいた住宅が滋賀県大津市の「梅林の家」です。
http://tuki-note.com/works2/umebayashi.html
テーマは「思い出を残しつつ生まれ変わる二世帯の住まい」。
築80年の商家の建替えで、70代のお母さんとご夫婦と3人のお子さんが暮らす二世帯住宅です。
以前の商家も情緒のある趣き深いお家でしたが、二世帯同居になり家族構成が大きく変わることを機に建て替えとなりました。
思い出深い建替え前の名残をあちこちに散りばめ、外構の石積みや植栽や外観は以前の和の設えを残しています。
室内も解体時に建具や板をできるだけ丁寧に保存して様々に再利用しています。
特にお母さんのスペースは欄間を再設置するなど、落ち着いた和の空間としました。
この欄間は滋賀らしく、近江八景が彫られた欄間だそうです。
一方で、ご夫婦とお子さんのスペースは、奥さんのモダンな趣味の雑貨やインテリアにも馴染むよう、白い面の多いニュートラルな内装にしています。
2階は子世帯の寝室と書斎です。
書斎は北東の角に開かれた窓があり、この方向に桜並木を望みます。
二世帯で玄関とキッチンはそれぞれ設けました。
こちらはお母さんの玄関。
メインに使う子世帯の玄関はまた雰囲気が違います。
正面の飾り棚は建替え前の再利用で、モザイクタイル周りの漆喰塗りのデザインも以前の意匠を再現しています。
トイレと洗面・浴室・物干しといった水周りは二世帯で共用するスペースです。
その共用スペースを、子世帯とお母さんの居室の真ん中に挟み、互いのプライベートの空間は近からず遠からず、家族の気配を感じながらもプライバシーを保つ計画としました。
トイレのカウンターは古家から外して取り置いていた栃の板です。
ズズ黒く汚れていましたが大工さんに刷り直してもらったら、美しい杢目が出てきてきれいに蘇りました。
家族の思いと多くの人の力が詰まった住まいです。
大工さんを初め、たくさんの造り手も丁寧なプロの仕事で応えてくれました。
新築住宅
滋賀県大津市
木造2階建て
延べ面積 204.88 m2 (61.97坪)
2011年4月竣工
設計:暮らしの設計ツキノオト/船木絵里子
+モモデザイン/山本仁美
構造サポート:ワークショップ/安江一平
施工:ツキデ工務店
キッチン:oguma
造園:嶋かずみ+伊覇造園
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