「山添の家」では、最初に住まい手さんからご相談いただいてすぐに工務店を探して、調査から一緒にメンバーに加わっていただきました。

設計の先輩・トヨダヤスシさんから「奈良だったらここがオススメ」と教えていただいた「なや建築工房」さんです。
山添村のお隣、天理の工務店さんで現場まで車で20分。
めちゃ近い!!素晴らしい!!近くに良い工務店さんがあるというのは何よりの吉報です。

住宅は建てればすべて終わりということはありません。
建てたあとも点検してもらったり経年劣化を修繕してもらったり、かかりつけ医のようにずっと長く相談していける、住まい手に心強い存在になります。


特に今回の「山添の家」では近くの頼れる工務店さんは必要不可欠でした。
設計の私は大阪なので、こちらで緊急事態があってもすぐに駆け付けることができない距離です。

もちろん近ければいいってことではありません。
現状の古民家がかなり劣化の進んだ状態になっていたのも、適切なメンテナンスが定期的になされずに、その道のプロの目と手が入っていなかったのも大きな要因のひとつです。
良い関係が長く続く相談しやすい工務店さんが、こちらのお家のパートナーになってくれることが必須でした。

私は良い工務店というのは、腕の良さ・技術力の確かさももちろんですが、誠実な仕事ぶりやコミュニケーションがしっかり取れるマメさや安心感のある人柄もとても大切だと思っていて、なや建築工房さんと各職人さんは全てにおいて期待以上にしっかり対応してくださる工務店さんでした。

また、近くの工務店であれば、その地域の特性や慣習、山間部の現場での注意点などもよく分かっておられます。
最初の計画段階から、工務店の監督の和田さんに計画や予算について相談しながら進められたのは、今振り返っても大正解でした。


一般の住まい手さんや設計事務所で、設計を進めたあとに相見積で工務店さんを競合させて一番安い業者に決めるところがありますが、私はこの相見積はしません。安ければ良いという判断基準が間違っていると思うからです。
「住まい手にマッチする良い工務店を見定めて、予算に収まるように設計と工事内容を調整する」のも設計事務所の仕事だと考えています。

安い見積と高い見積には、それぞれ相応の理由があります。手作りの木の家の工事には手間がかかり、特に美しく性能が良い木の家には多くの職人の手仕事とふさわしい素材が詰まっています。

家が「安かろう悪かろう」では後悔の残る結果になります。
どこにどれだけの予算と労力をかけるのか、住まい手と設計者と作り手がしっかりと話し合って互いに納得いくことが、良い家づくりと良い関係づくりに繋がるので、最初から信頼できる工務店さんにもチームに入ってもらうことは大切です。


2023年04月14日    

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