「小ギャラリーの家・Afan」は今までで一番、小さな敷地に小さな家を建てた事例です。
準防火地域の13坪の敷地に、建坪7坪の2階建て、延床面積14坪の小住宅です。

「蔵のようなギャラリー兼セカンドハウスを造りたい」というご要望だったこともあり、外観はごくシンプルな切妻屋根で、漆喰の白壁と古色の格子。
入口の玄関ポーチは、コの字型の白い壁で囲んでいますが、この壁は隣地からの火災の延焼を防ぐ「防火壁」になっています。


狭小地で両隣も建て込んでおり、Afanの家も隣地境界から50cmだけ控えて建っています。

準防火地域では、隣地に近い窓やドアなどの開口部は、防火サッシやシャッターなど燃えにくく変形しにくい「防火構造」の建具を付けなければいけません。
Afanの正面の窓はすべて防火サッシの外に格子を取り付けています。

木製ドアを使う場合は、燃えない材料で下地を作るなど構造や仕様が細かく規定されており、普通の木製建具は使えません。

隣地からの火を防ぐために開口部を防火構造にするのですが、もうひとつ、「防火壁」を隣地との境界に立てて隣からの延焼を防ぐ、という方法もあります。
「防火そで壁」や「防火塀」とも言うものです。

Afanの家では、玄関を防火壁で囲うことで木製の古建具を玄関引戸として使えるようにしました。

 
そして、この防火壁の形は、来客を迎え入れるような斜めの形にして、内側に引き込むようにテーパーをつけてスッキリさせています。
漆喰壁がシャープで、角がピシッと出ているのが美しいです。
施工は羽根建築工房さん。左官は井上左官工業さんがさすがのきれいな仕事をしてくださいました。

また、玄関が道路から丸見えになるのでワンクッションとして、造園屋さんに延石を立ててもらって、モミジの鉢植えとともにエントランスをカバーしています。

玄関引戸は、古いガラス戸と、新しくあつらえた格子網戸の2重にしています。

準防火地域で、開口部に木製建具やガラスなど防火サッシ以外のものを使いたい場合は、この防火壁は取り入れやすい方法だと思います。

2023年08月18日    

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です