工務店のモデルハウスとして公開したあとで、社長のご自宅として住まわれる住宅です。
来客に見せつつも住まい手家族が安心して暮らすことができ、片付けやすくきれいに住みやすい家を意図して計画しました。
道路に対して15度、建物をふって南を向くように配置しています。南面に大きな開口を設け、夏は庇により日射を遮り、冬は部屋の奥まで日が入り暖かくなるようにしています。
配置をななめにすると、用途の違う4つの庭が生まれ、お隣との距離もできて近接して向き合わず、北庭も明るくなり隣家に差した日が反射光となり、こちらも明るくなります。
東側にはアプローチとカーポート、駐輪スペースや納屋など、玄関周辺にあると便利なものを配し、屋根をかけて雨の日も濡れずに行き来できるようにしています。
南庭は見晴らしや植栽を楽しみつつ、板塀と薪棚で防犯と目隠しをしています。全開放できるガラス戸でデッキや庭とのつながりを良くしています。
西側には洗面・洗濯~寝室・クローゼット~物干し・サンルームをまとめ、家事動線を短く、かつ1階だけで暮らせる間取りにしています。浴室からは坪庭の緑が見えるようにしました。
100年もつ耐久性があり引き継げる家にしたいというご要望だったため、家族構成や年齢の変化にも対応する普遍的かつ可変的な間取りとし、リビングや畳コーナーは置き家具で仕切るなどレイアウトを変えられるようにしています。
片付けやすい家にするため、家事スペースや物置をしっかり確保しています。
サンルーム(物干し)やパントリー・納屋・土間など物が多く来客に見せたくないスペースは、障子やのれんで簡単に「仕舞いやすく隠しやすい」レイアウトにしました。
また、来客用の玄関と、土間から入る家族用の入口を分け、来客の動線と家事動線をはっきり分けています。
土間~パントリー~キッチン~洗面と並べ、シンプルに動きやすい家事動線にしています。
新築住宅
所在地/大阪府大阪狭山市
構造/木造2階建て
延床面積 /145.26㎡ (43.94坪)
設計/暮らしの設計ツキノオト/船木絵里子
省エネ計画サポート/水の葉設計社/中野弘嗣
構造サポート/ワークショップ/安江一平
施主・施工/(株)中瀬古工務店
キッチン・洗面/oguma
テーブル・椅子/Jクオリア
薪ストーブ/㈲憩暖
ステンドグラス/戸夢窓屋
照明/NEW LIGHT POTTERY
スピーカー/sonihouse
植栽/作庭工房garden HANA
小物ディスプレイ/モモデザイン
南東外観。そとん壁・石・無垢板や既存の古レンガなど、質感ある素材を多く使っています。
キャンチレバーの屋根付きのカーポート。雨の日も濡れずに玄関まで行けます。薪小屋が南庭の目隠しになっています。
東側外観。カーポートの右手に玄関が、アプローチの奥に施工途中の納屋があります。
南庭から薪棚を見る。これから樹が茂り、程よい木陰と適度な目隠しをしつつ、道行く人を楽しませてくれるでしょう。
南庭からサンルームやベランダを見上げる。
ステンドグラスの窓が入った玄関。引出し付きの使いやすい靴箱は大工さん製作。
土間から玄関を見る。途中の方立にのれんを掛けて目隠しをすると、土間の中には雑多な物を置けるようになります。右手にはブーツやコート・かばんなど置けるクローゼットも設置。
土間から北庭を見る。正面は納屋につながり、左手にはパントリーにつながります。
リビング。引戸を開け放つとデッキ・庭とリビングが一体に使えます。中心の畳コーナーは収納付きの置き家具なので、9つの箱に分けて自由に移動できます。
格子網戸を引くと落ち着いた雰囲気になります。網戸にも雨戸にもなる格子戸は、防犯・通風・目隠し・台風対策・日射遮蔽といろんな用途で活躍します。
ダイニングの吹抜けを見上げる。2階から光が落ちてくるため家の奥まで明るく、日中は照明がなくても過ごせます。
LDKを見渡す。
家の中心にある薪ストーブ。ダイニングキッチンにも近く料理にも使えます。この薪ストーブで家のほぼ全体を暖めることができます。
キッチンからパントリーを見る。のれんの向こうには雑多な物を収納できる大きなパントリーがあります。キッチンはoguma製作の無垢板のキッチンです。テレビを見ながら洗い物ができるメインのシンクと、背面には調理に使うサブシンクもあります。
キッチンから洗面方向を見る。北側の窓からも反射光が柔らかく注いでいます。
白い壁か板が多い中、グレーのタイルがよいアクセントになっています。
洗面室。下着を入れられるように引出しは多めに。洗濯かごやバケツやゴミ箱も入れられるようにあえてオープンのところも空けています。正面の鏡貼り引戸に化粧品類を。左手の棚はタオル置場です。
緑が見えるハーフユニットの浴室。鏡にも緑が映り広く感じます。換気しやすく乾きやすい浴室です。天井と壁の一部にサワラの板を張っています。
寝室。右手に洗面があり、左手にサンルームがあり、サンルームとの間の引込サッシを全開放すると2部屋をつなげて広く使うこともできます。
天窓付きのサンルーム。物干しのバーを掛けられるようにしています。真夏はタープを掛けて日影を作り、冬は日が射し込む温室として使います。寝室との間にしっかり断熱しているので、サンルームは季節によって開けたり閉じたり温度を調節して使います。
1階トイレ。土間の横にあるので帰宅時の手洗いとしても使えます。北側にありますが中庭からの光でずいぶん明るくなりました。
ブラックチェリーの階段。階段下に目立ちませんが収納扉もあります。手摺はアイアンの加工。
吹抜けから個室(1)を見る。
化粧垂木を現した小屋組み。吉野杉の赤身が美しいです。
照明はNEW LIGHT POTTERYさんのシンプルな真鍮のものを。将来のメンテナンスを考え、配線はあえて隠さず見せています。
個室(1)からベランダを見る。
個室(2)の窓。周辺の美しい緑を切り取るように窓を設けています。
天窓付きのベランダ。