ご夫婦と小さなお子さん3人が暮らす小屋のような住まいです。
 
緑豊かな信貴山の麓で、施主は作庭家のご一家です。
周辺は花木など造園の庭木を育てる山で、一年を通して美しい里山に位置します。
 
予算を抑えつつ周辺に馴染む「山の棲家」を建てるということでしたので、四間角(7.28m四方)の総二階建て、片流れの屋根、外壁はすべて焼き杉板張りと、極めてシンプルにしています。
周辺の樹木や石垣など景色が美しければ、家の造形は作為的に凝らないでも十分美しいということがよく分かりました。
 
1階は階段を中心に回遊できるプランで、玄関~洗面~キッチン~物干しという家事動線もスムーズです。
階段を中心にしたことで、階段で遊ぶお子さんとキッチンにいるお母さんが会話をしたり、踊り場から和室へお子さんが飛び降りたり、と楽しい空間になるよう意図しました。
 
また、リビングから吹抜けのキャットウォークへ通じるハシゴをあえて付けています。これは遊びのハシゴです。
2階もキャットウォークを使ってぐるぐる回れるプランになっていて、2ヶ所のロフトにもそれぞれハシゴが付いています。
ロフトは2段ベッドのような使い方で、下を収納にして上で寝たり、下は勉強机を置いて上で遊んだり、いろんな使い方ができます。
 
またお子さんが小さい時には家族と一緒に寝ることも多いため、間取りを固定せずフレキシブルに間仕切りを変化できるようにしてします。
 
キャットウォークの西窓から大阪平野の夜景が見えるように高さを検討しています。
それ以外の窓も、それぞれに良い景色が見られるように、花の咲く木にあわせて小窓を現場で移動するなど、調整を重ねています。
 
1階の洗面廻りやリビング腰壁など、何ヶ所かカラフルなチョークペイントやマグネットペイントを塗っています。
空間のアクセントになるとともに、メモを貼ったり伝言板にしたり子供さんが落書きをしたり、家全体を楽しく使ってもらえることを願っています。
 
庭や外構は住まい手さんが自ら、住みながら少しずつ整え育てられています。
これからもお子さんたちと一緒に育っていく住まいと庭の成長が楽しみです。

新築住宅
所在地/大阪府八尾市
構造/木造2階建て
 
延床面積 /98.55㎡ (29.81坪)
 
設計/暮らしの設計ツキノオト/船木絵里子
構造サポート/ワークショップ/安江一平
 
施工/(株)藏家
造園/施主DIY(グリーンスペース)
コーディネート/(株)三木ホーム

 
 

→山の棲家のブログ記事はこちら
 

北側外観。 シンプルに真四角の全面、焼杉板張り。
ポーチの軒は大きめにキャンチで持ち出していますので、自転車置場にもなります。

 
 

玄関ポーチ。木製引戸の横に明かり取りのスリットをあけています。

 
 

玄関内部。
かわいいものを飾れるニッチと、手摺にもなる飾り棚、モノを掛けるフックを木で作って付けています。

 
 

玄関から入りやすく、キッチンともつながる洗面室。洗面カウンターの向かいにも収納棚を付けています。

 
 

ユニットバスの浴室。ハイサイド窓から緑が見え開放感と明るさがもたらされます。

 
 

LDK正面を望む。
左奥の青い壁の中が洗面室です。右の緑色の腰壁と青の壁にはチョークペイントが塗られています。

 
 

洗面入口。チョークペイントの下にマグネットペイントも塗ってメモボードにしています。
欄間にガラスを入れて視線を抜いているので、洗面もLDKも広く明るく感じます。

 
 

リビングから階段を望む。家の中心に階段があり、お子さんの遊び場にもなります。

 
 

キッチンから階段を望む。キッチンに立つ奥さんはお子さんの様子がだいたい分かるような開放的な間取りです。

 
 

ステンレスのアイランドキッチン。
ダイニング側にも棚板を設けています。
キッチンの外には(撮影当時DIYで製作中の)デッキが続きます。

 
 

キッチンはすべてオーダー、オリジナルでデザイン・製作しています。
アイランドの横にはアイアンのマガジンラックを付けています。

 
 

ダイニング横のチョークペイントの腰壁。

 
 

キッチンから庭を望む。

 
 

竣工1年後のお庭。お子さんとともに成長中。

 
 

リビングから吹抜けのキャットウォークにのぼるハシゴ。
奥には家事コーナーやPCコーナーにもなるワークスペースを設置。

 
 

和室からハシゴを見る。

 
 

回り階段。あえて壁で囲まずに踊り場から和室にもLDKにもつながります。
ここに腰掛けるのも気持ちいいです。

 
 

吹抜けからリビング・和室を見る。
将来的に吹抜けに床を張って一部屋増やすこともできるように、構造計算をして床梁を入れています。
しばらくは手摺にネットを張って転落防止に。

 
 

吹抜けのキャットウォーク。部屋から部屋へ移る廻廊です。
東の窓際にはカウンターを取り付け。日が暮れると眼下に夜景が広がります。

 
 

キャットウォークから主寝室へ。アクセントに吹抜けをのぞく小窓を設置。

 
 

主寝室。窓の外に緑や季節の花が見られます。
カーテンなど吊って簡易な目隠しができるように、ところどころ吊り棒やノレン掛けを設けています。

 
 

主寝室。南側の窓に転落防止と布団干しを兼ねた木の手すりをはめこんでいます。

 
 

子供室のロフト。下は収納や勉強机置場に、上は遊び場やベッドになります。