建築面積9坪の2階建て、敷地面積16坪の小さなおうちで、カフェの店主である住まい手と猫3匹が暮らしています。
 
大阪市内の町中の路地裏の準防火地域で、西側道路以外の周囲が建て込んでいる立地です。
現在は南側隣地が駐車場になっていますが、南にも近接して建物が建った場合にも、光と風が入るように工夫しています。
 
また、将来的には親族に引き継ぐことも想定し、住み方が変わってもフレキシブルな使い方ができる間取りにしました。
 
道路側には、自転車やバイクが停められるようにセットバックし、わずかでも彩りのある小さい庭を作っています。
 
1階だけでも生活ができるように、LDKと水廻りは1階にまとめ、可動式の畳コーナーを作ってこちらで就寝することもできます。
 
2階廊下の床に透明のポリカーボネート板を張って、上階の光が1階にやわらかく落ちるようにしています。
2階の屋根付きのベランダを設け、屋根の大きな天窓からも光が射し込みます。
 
寝室の屋根を下げて下屋にして、和室の高い屋根と段差を付けることで、和室上部の吹抜けからたくさんの光を取り入れるようにしています。
 
この吹抜けの東側の窓と、北側からの反射光と、ベランダ天窓からの光は、南に隣棟が建っても遮られにくい光の取り入れ口として確保しています。
 
吹抜けの窓を開閉するためにハシゴ付きのキャットウォークをつけています。これは猫たちも上り下りする本当のキャットウォーク。
 
ここ以外にも猫が自由に動き回ったりくつろぐスペースを作り、ベランダには猫用出入口を付けてベランダで日向ぼっこしたり用を足したりできるようにしています。

新築住宅
所在地/大阪市福島区
構造/木造2階建て
 
延床面積 /60.84㎡ (18.40坪)
 
設計/暮らしの設計ツキノオト/船木絵里子
構造サポート/ワークショップ/安江一平
 
施工/(株)木又工務店
造園/春音
 
 

→モクセイハウスのブログ記事はこちら
 


 
 

正面外観。格子で防犯と目隠しをしつつ、程よく光と風を入れるようにしています。
ベランダの屋根のガラス天窓から十分な光が入ります。
玄関引戸は防火戸として、下地を不燃材でつくり表面に杉板を張っています。

 
 

南側外観。南の縦格子は、窓前だけ避難時に内側から開閉できるように仕掛けを仕込んでいます。

 
 

玄関ポーチ。門柱もポストも木で製作しています。門柱の横には金木犀の鉢が。モクセイという名前は、木製・木星・木犀と、いろんな意味をもつ言葉として住まい手がカフェに名付けた名前が元になっています。

 
 

小さな庭の植え込み。ヒメタイサンボク、コアブラドウダンツツジ、セイヨウカマツカ、マルバマンサクなど、狭いスペースですが可愛い植物をたくさん植えていただきました。
足元は枕木や延石を敷いています。延石は建て替え前の家を解体した時に出た石を再利用しています。

 
 

ダイニングから階段を見る。天井が一部、透明のポリカ板になっているので光が2階からも落ちてくる。階段下収納はシンプルに白のペンキ塗りの扉に。

 
 

ダイニングからキッチン・水廻りを見る。南側の窓の格子が開いていると明るくなります。トイレや洗面の欄間はガラスにして空間が広く感じるようにしています。

 
 

大工さん製作の杉板のキッチン。コストダウンのため白いキャビネットはIKEAのもの。身長の低い住まい手にあわせ吊戸棚は低めです。床はクリの無垢板に床暖房を設置しています。

 
 

猫さんはキッチンのハイサイド窓がお気に入りだそうです。冬場はポカポカと日当りのいいところを上手に見つけますね。

 
 

ダイニングと畳コーナーの南面を見る。南側が駐車場のため窓の大きさは控えめに、高さも高めにして可動格子を付けています。

 
 

キッチンから畳コーナー・玄関を見る。

 
 

畳コーナーは70cm角の畳ユニットを組み合わせで、それぞれのユニットを移動してベンチや椅子として使うこともできます。ユニットに引出しもあり、横に本棚、上に天袋と収納も充実しています。天袋には布団も収納でき、エアコンも中に納まっています。

 
 

洗面カウンターも大工さん製作です。ここに椅子を置いて化粧台としても使えます。

 
 

1階トイレ。階段下のスペースです。

 
 

2階和室からベランダを見る。廊下は透明のツインポリカーボネート板です。ベランダや吹抜けからたくさんの光が入る空間です。

 
 

吹抜けのキャットウォークから2階を見下ろす。奥に洗濯機置場や収納があります。

 
 

冬の日のネコ。日当りを求めて細い階段手摺を止まり木にしている様子です。

 
 

キャットウォークに上がるハシゴ。窓の開閉のために付けましたが猫の遊び場にもなっています。

 
 

和室から寝室を見る。天井の高い和室と天井の低い寝室が対照的です。

 
 

吹抜けのキャットウォーク。将来的にロフトを造れるぐらいの天井高があります。猫が爪を研いでいた杉の柱には麻ヒモを巻いて対策しています。猫は杉で爪を研ぎたがるので、独立柱や床板はクリやケヤキなど堅い木を使った方がよかったかもしれません。

 
 

ベランダでひなたぼっこする猫たち。室内からベランダに自由に出入りできる出入口があります。